 ◆イオン交換性(金沢大学大学院自然科学研究科による)
イオン交換は、砂や土壌が持つ水の浄化作用を中心に地球の誕生と共に超太古より 大自然の中で営まれている現象です。 以下はバーミキュライトのイオン交換性について 科学的に説明します。
バーミキュライトは三八面体層状構造のケイ酸塩粘土鉱物です。バーミキュライトの表面は, 負または正の電荷を持っているので,その電荷と反対符号を持つ陽イオンまたは陰イオンの吸着が 起こります.これらの吸着イオンをもったバーミキュライトが他のイオンを含む溶液と接触すれば, 吸着イオンと溶液中の異種イオンとの間で交換反応が瞬時に起こります.この現象をイオン交換と 呼んでいます.イオン交換反応によって溶液中に放出される陽イオンまたは陰イオンの量を測定すれば, 反応に関与するバーミキュライトの正または負の電荷量を見積もることができます.この量をそれぞれ 陽イオン交換容量 (Cation Exchangeable Capacity: CEC)と陰イオン交換容量 (Anion Exchangeable Capacity: AEC)といい,普通100g当たりのミリ当量数(meq,当量はイオンの 価数にモル数を乗じたもの)で表されます.表1に主な粘土鉱物と関連物質のCECを示します.
イオン交換性は,上述のように粘土鉱物の表面に電荷を有することに起因します.では, なぜ粘土鉱物は表面に電荷をもっているのでしょうか.粘土鉱物の基本構造は,Si-O四面体が 2次元的につながっている四面体シートとAl-O, Mg-O等の八面体がつながっている八面体シートから 構成されます.この四面体シートでは,通常1個のSiが4個のOで囲まれていますが, Siの代わりにAlも入ることがあります(図1).また,八面体シートでは,Alの代わりにMgも入ることが あります.この様な置換は通常同じくらいの半径をもつイオン間で起こるので,結晶構造に大きな変化はなく, 同形置換と呼ばれています.しかし,上述のような同形置換が結晶構造内で生じることにより, 電荷の不足を生じ,その負電荷(層電荷)を補うために陽イオンが結晶層間や結晶表面に 位置することになるのです.同形置換による負電荷は,外囲条件の影響を受けることなく一定であるので, 永久電荷と呼ばれています.粘土鉱物で永久電荷が 卓越しているのは,バーミキュライト,雲母, スメクタイト,緑泥石です.
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図1 2:1型粘土鉱物の同形置換と電荷分布 |
イオン交換の作用:
水処理に(軟化と純化)水処理の方法には、イオン交換処理法をはじめ、凝集沈殿、 ろ過、活性炭吸着、脱気、膜処理などいろいろな処理方式がありますが、これらの中で バーミキュライトのイオン交換性能を用いたイオン交換処理法は処理効果も大きく、 応用範囲も非常に広くなっています。
重金属排水の処理にカドミウム、鉛、銅、亜鉛などを含有する重金属排水の処理は 凝集沈殿法により大部分が除去されますが、その後段でさらに確実にこれらを除去する為に バーミキュライトのイオン交換性能が用いられています。
バーミキュライトのイオン交換性能を利用し化学工業の水処理装置としての用途は もちろんのこと、酸・塩基の固体触媒、電子材料の分離精製、ヨウ素の濃縮精製、 電解液の精製、塩水精製、酸・塩基の精製・回収など多くの用途で使用されています。
化学物質漏出時、不燃性の天然の吸収剤としてバーミキュライト を使用して有害物を集めるの用途に 使用されています。
空気浄化装置中、空気中にある細微埃を吸付濾過、空気浄化の作用はあります。
海水のオイル処理に油を海水から分離し吸付の作用があります。
バーミキュライトのイオン交換性能を利用し医薬製薬向け製造用水処理装置としての 用途はもちろんのこと、医薬製薬成分の抽出、分離、精製など多くの用途に使用されています。
バーミキュライトのイオン交換性能を利用し食品産業の水処理装置としての用途はもちろんのこと、 食品自体の色素成分の除去、塩類の除去、有害物質の除去、有用物質の吸着など多くの用途に 使用されています。
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